一枚の「蕎麦」と男の「涙」・・・

カズキ

2016年02月26日 09:00

◆思わずもらい泣きしそうでした。

2月22日・23日と、東京へ行ってきました。

目的は、23日に銀座NAGANOでの蕎麦の仕事です。
こちらに関しては、また後日ブログで記事にさせて頂きます。

23日は、本来であれば営業日です。

そこをお休みにして仕事にしたので、
22日から行って、蕎麦の勉強をしようと決めていました。

さて・・・どこのそば屋さんに行こうか?

そう考えていたときに、昨年の秋に知り合った、
東京のそば屋さん達の顔が浮かびました。

そうです。

小布施にある「せきざわ」さんの収穫を、
お手伝いに行った時に知り合った皆さんです。

色々調べましたが、皆さん月曜日が定休日・・・。
だからあの日、お手伝いに来ていたのですから(笑)

巣鴨にある「手打ちそば 菊谷」さんにはどうしても行きたかったので、
菊谷さんに直接連絡をしてみました。

すると、やはり月曜日は定休日とのこと。
ガッカリしていると、一緒にそば屋巡りをしてくれることになりました!

◆秩父「手打ちそば こいけ」

いざ当日。
初日のお昼の目的地は、秩父市です。

「手打ちそば こいけ」さんは、菊谷さんの修業先のようです。
車で3時間かけてようやく到着しました。



菊谷さんは、お店のお客さんたちと、先にいらしていました。
店内は、昔ながらのおそば屋さんといった感じです。



妙に落ち着く雰囲気かなんとも言えず、
皆さんに挨拶をし、楽しい食事をさせて頂きました。

こちらが「せいろそば」です。



美味い!美味い!
ふわりとした口当たりに加え、そばの香りが口の中で広がる、優しい一枚です!

次に頂いたのが「けし切り」です。
けしの実を入れたかわりそばです。



これもまた絶品でした!
けしの実が落ちないよう、やや平打ちのそばに仕上げてあり、
けしの香りとのど越しが抜群です!

最後に「田舎そば」です。



長野県の田舎そばとは、また一味違うこの一枚!
噛みしめる度に、そばの旨味が口の中に広がります!

これで終わりかと思ったら、さらにもう一枚!
私が衝撃を受けたのが、この「もりうどん」でした!



讃岐うどんとは、また別の食べ物といっていいと思います!
のど越しの良さ、キレのある食感、心地よい塩加減、本当に美味しかった!!!

お腹も心も満たされ、幸せいっぱいな余韻に浸ていました。
しかし、ここからが本当の物語があったのです。

◆「お客」と「店主」の関係

もう食べれないなーと思っていたら、お客様の一人が、
せいろそばを追加で一枚頼まれました。

「もう食べれないかもしれないから・・・。」

私には、その言葉の意味を理解するまで、時間がかかりました。

皆さんの会話に耳を傾けていると、なんと小池さんは、
今年の9月でお店を閉められるようです。

後で知った話なんですが、店主の「小池重雄」さんは、
蕎麦界の重鎮と言われるほどの方でした。

「蕎麦聖」と言われた一茶庵の創始者「片倉康雄」さんに師事し、
名人といわれる「高橋邦弘」さんと共に、「石臼挽自家製粉」の世界を創ってこられました。

そんな素晴らしい方の蕎麦を、このタイミングで食べれたことに胸が熱くなりました。

そして、先ほどの方は、その一枚の「蕎麦」を目の前に涙していました。
涙をしながら、ただ黙々と蕎麦を手繰っているのです。

30年通い続けていた蕎麦が、もうすぐ食べられなくなる。

この方の背景には、きっと私には計り知れないほど、
「お客」と「店主」の想いが溢れているんでしょうね。

私も思わずもらい泣きしそうでした。

それはもう「蕎麦」を食べているのではなく、
「店主の想い」そのものに違いありません。

お店は、お客様によって育てられていく。

私も、いつか引退する時が来るのでしょう。
それまで私は、どんなそば道を歩んでいけるのかな。

今は、ひたすら日々精進です!
この場に立ち合わせて頂けたことで、また大きな学びがありました。

皆さん本当にありがとうございました!!!

【手打ちそば こいけ】

住所:埼玉県秩父市野坂町2丁目14−34
電話:0494-22-1610


続く・・・。

次回!神田「眠庵」へ行く!

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