◆思わずもらい泣きしそうでした。
2月22日・23日と、東京へ行ってきました。
目的は、23日に銀座NAGANOでの蕎麦の仕事です。
こちらに関しては、また後日ブログで記事にさせて頂きます。
23日は、本来であれば営業日です。
そこをお休みにして仕事にしたので、
22日から行って、蕎麦の勉強をしようと決めていました。
さて・・・どこのそば屋さんに行こうか?
そう考えていたときに、昨年の秋に知り合った、
東京のそば屋さん達の顔が浮かびました。
そうです。
小布施にある「せきざわ」さんの収穫を、
お手伝いに行った時に知り合った皆さんです。
色々調べましたが、皆さん月曜日が定休日・・・。
だからあの日、お手伝いに来ていたのですから(笑)
巣鴨にある「手打ちそば 菊谷」さんにはどうしても行きたかったので、
菊谷さんに直接連絡をしてみました。
すると、やはり月曜日は定休日とのこと。
ガッカリしていると、一緒にそば屋巡りをしてくれることになりました!
◆秩父「手打ちそば こいけ」
いざ当日。
初日のお昼の目的地は、秩父市です。
「手打ちそば こいけ」さんは、菊谷さんの修業先のようです。
車で3時間かけてようやく到着しました。
菊谷さんは、お店のお客さんたちと、先にいらしていました。
店内は、昔ながらのおそば屋さんといった感じです。
妙に落ち着く雰囲気かなんとも言えず、
皆さんに挨拶をし、楽しい食事をさせて頂きました。
こちらが「せいろそば」です。
美味い!美味い!
ふわりとした口当たりに加え、そばの香りが口の中で広がる、優しい一枚です!
次に頂いたのが「けし切り」です。
けしの実を入れたかわりそばです。
これもまた絶品でした!
けしの実が落ちないよう、やや平打ちのそばに仕上げてあり、
けしの香りとのど越しが抜群です!
最後に「田舎そば」です。
長野県の田舎そばとは、また一味違うこの一枚!
噛みしめる度に、そばの旨味が口の中に広がります!
これで終わりかと思ったら、さらにもう一枚!
私が衝撃を受けたのが、この「もりうどん」でした!
讃岐うどんとは、また別の食べ物といっていいと思います!
のど越しの良さ、キレのある食感、心地よい塩加減、本当に美味しかった!!!
お腹も心も満たされ、幸せいっぱいな余韻に浸ていました。
しかし、ここからが本当の物語があったのです。
◆「お客」と「店主」の関係
もう食べれないなーと思っていたら、お客様の一人が、
せいろそばを追加で一枚頼まれました。
「もう食べれないかもしれないから・・・。」
私には、その言葉の意味を理解するまで、時間がかかりました。
皆さんの会話に耳を傾けていると、なんと小池さんは、
今年の9月でお店を閉められるようです。
後で知った話なんですが、店主の「小池重雄」さんは、
蕎麦界の重鎮と言われるほどの方でした。
「蕎麦聖」と言われた一茶庵の創始者「片倉康雄」さんに師事し、
名人といわれる「高橋邦弘」さんと共に、「石臼挽自家製粉」の世界を創ってこられました。
そんな素晴らしい方の蕎麦を、このタイミングで食べれたことに胸が熱くなりました。
そして、先ほどの方は、その一枚の「蕎麦」を目の前に涙していました。
涙をしながら、ただ黙々と蕎麦を手繰っているのです。
30年通い続けていた蕎麦が、もうすぐ食べられなくなる。
この方の背景には、きっと私には計り知れないほど、
「お客」と「店主」の想いが溢れているんでしょうね。
私も思わずもらい泣きしそうでした。
それはもう「蕎麦」を食べているのではなく、
「店主の想い」そのものに違いありません。
お店は、お客様によって育てられていく。
私も、いつか引退する時が来るのでしょう。
それまで私は、どんなそば道を歩んでいけるのかな。
今は、ひたすら日々精進です!
この場に立ち合わせて頂けたことで、また大きな学びがありました。
皆さん本当にありがとうございました!!!
【手打ちそば こいけ】
住所:埼玉県秩父市野坂町2丁目14−34
電話:0494-22-1610
続く・・・。
次回!神田「眠庵」へ行く!