2016年07月20日
弟子を「クビ」にする話・・・
◆それぞれの試練の一ヵ月
先月中旬の話です。
弟子のカズ君がぎっくり腰になってしまいました。
仕事を休ませ、治療に専念したものの、なかなか良くなりませんでした。身体が良くないと、心も気持ちも落ち込んでしまいます。
やりたい気持ちと、それに応えられない身体。その狭間で、彼の心はどんどん沈んでいくのが分かりました。
私と女将さんは、その姿に見かねて、ある決断をしました。
「神奈川の実家で療養すること」
その目的は、実家から治療に通い、母親の作った手料理を食べ、家族と共に時間を過ごし、身体と心を健康にすることでした。
そして、6月26日の日曜日、彼は神奈川に帰りました。
療養の期間は、二週間と決めました。何度か連絡を取り合い、腰の具合も少しずつ良くなってきた様子でした。
それから、約束の二週間後の7月11日のことです。前日の夜に、腰の調子も良くなってきたので、信州に帰ると連絡がありました。
しかし翌日の朝、胃腸炎になってしまったので、すぐには帰れないとのことでした。
すっかり帰ってくるものだと思っていたので、私も女将さんもショックでした。
それでも、他のスタッフに話を伝え、何とかシフトを組み、彼の居ない三週間を営業しました。
「本当に帰ってくるのだろうか?」
スタッフも、常連さんも、そして女将さんも不安に思っていたのは事実です。
その理由は、彼がなかなか連絡をよこさなかったことです。
「良くなってきたので、来週には帰れそうです!」
とか、
「まだ調子が戻らないので、もう二、三日休ませてください!」
など、なんでもいいから、連絡がほしかったのです。
彼の中には、戻るつもりでいたと思います。でも、周りの人たちは、心配しているがゆえに、その一言がほしかったのです。
昨日の夕方、松本に帰ってきたと連絡がありました。私はすぐにお店に顔を出すように指示しました。
そして、彼のこの三週間、どういう心の気持ちがあったかを聞きました。
それから私の想いを伝えました。
普通の従業員と経営者という立場なら、もう辞めさせていたかもしれません。
なかなか連絡をよこさないというだけで、それぐらい、この三週間は色んな意味で心が揺れました。
それでも私は、無事に帰ってきた彼を受け入れました。
その理由は、彼は自分の言葉で、そば職人になりたいと、前向きな気持ちで、真っ直ぐな表情で話をしてくれました。
その言葉を信じ、もう一度初心に戻って、一からそば打ちに向き合おうと話をしました。
私は、従業員が欲しいわけではありません。
共に泣き、笑い、喜びを分かち合える「家族」を創りたいのです。
彼はまだ27歳です。
未熟な部分もたくさんあります。
私も、20代の時、自分のことばかり考えていて、先輩方にお叱りを受けていました。今は亡き木鶏の親方も、私を見捨てず、本気で向き合って下さいました。
だからカズ君には、何度失敗しても、とことん受け止めるつもりです。
そして、本当に相手の気持ちをわかる職人になってもらいたいと思っています。
私自身も、まだまだ未熟者です。
この一ヵ月、本当に色々ありました。
それでも、多くの人に支えられ、木鶏はあります。本当に本当にありがとうございました!
もっとお客様に喜んで頂けるサービスを提供できるよう、最高のチーム木鶏を創っていきたいと思います!
追伸:
弟子をクビにするのは簡単です。
でも、相手だって人間だし、私だって人間です。
彼を家族と思う以上は、真剣に向き合ってあげたいと思います。
彼の一番の恩返しは、自分の打ったそばを、関わって下さった方に食べてもらうことです。
そのイメージを大切に、そば打ちに取り組んでもらいたいと思います。
「カズ君!よく帰ってきたな!おかえり!!!」
皆さんも温かく迎えてあげて下さいね!
いつもありがとうございます!
先月中旬の話です。
弟子のカズ君がぎっくり腰になってしまいました。
仕事を休ませ、治療に専念したものの、なかなか良くなりませんでした。身体が良くないと、心も気持ちも落ち込んでしまいます。
やりたい気持ちと、それに応えられない身体。その狭間で、彼の心はどんどん沈んでいくのが分かりました。
私と女将さんは、その姿に見かねて、ある決断をしました。
「神奈川の実家で療養すること」
その目的は、実家から治療に通い、母親の作った手料理を食べ、家族と共に時間を過ごし、身体と心を健康にすることでした。
そして、6月26日の日曜日、彼は神奈川に帰りました。
療養の期間は、二週間と決めました。何度か連絡を取り合い、腰の具合も少しずつ良くなってきた様子でした。
それから、約束の二週間後の7月11日のことです。前日の夜に、腰の調子も良くなってきたので、信州に帰ると連絡がありました。
しかし翌日の朝、胃腸炎になってしまったので、すぐには帰れないとのことでした。
すっかり帰ってくるものだと思っていたので、私も女将さんもショックでした。
それでも、他のスタッフに話を伝え、何とかシフトを組み、彼の居ない三週間を営業しました。
「本当に帰ってくるのだろうか?」
スタッフも、常連さんも、そして女将さんも不安に思っていたのは事実です。
その理由は、彼がなかなか連絡をよこさなかったことです。
「良くなってきたので、来週には帰れそうです!」
とか、
「まだ調子が戻らないので、もう二、三日休ませてください!」
など、なんでもいいから、連絡がほしかったのです。
彼の中には、戻るつもりでいたと思います。でも、周りの人たちは、心配しているがゆえに、その一言がほしかったのです。
昨日の夕方、松本に帰ってきたと連絡がありました。私はすぐにお店に顔を出すように指示しました。
そして、彼のこの三週間、どういう心の気持ちがあったかを聞きました。
それから私の想いを伝えました。
普通の従業員と経営者という立場なら、もう辞めさせていたかもしれません。
なかなか連絡をよこさないというだけで、それぐらい、この三週間は色んな意味で心が揺れました。
それでも私は、無事に帰ってきた彼を受け入れました。
その理由は、彼は自分の言葉で、そば職人になりたいと、前向きな気持ちで、真っ直ぐな表情で話をしてくれました。
その言葉を信じ、もう一度初心に戻って、一からそば打ちに向き合おうと話をしました。
私は、従業員が欲しいわけではありません。
共に泣き、笑い、喜びを分かち合える「家族」を創りたいのです。
彼はまだ27歳です。
未熟な部分もたくさんあります。
私も、20代の時、自分のことばかり考えていて、先輩方にお叱りを受けていました。今は亡き木鶏の親方も、私を見捨てず、本気で向き合って下さいました。
だからカズ君には、何度失敗しても、とことん受け止めるつもりです。
そして、本当に相手の気持ちをわかる職人になってもらいたいと思っています。
私自身も、まだまだ未熟者です。
この一ヵ月、本当に色々ありました。
それでも、多くの人に支えられ、木鶏はあります。本当に本当にありがとうございました!
もっとお客様に喜んで頂けるサービスを提供できるよう、最高のチーム木鶏を創っていきたいと思います!
追伸:
弟子をクビにするのは簡単です。
でも、相手だって人間だし、私だって人間です。
彼を家族と思う以上は、真剣に向き合ってあげたいと思います。
彼の一番の恩返しは、自分の打ったそばを、関わって下さった方に食べてもらうことです。
そのイメージを大切に、そば打ちに取り組んでもらいたいと思います。
「カズ君!よく帰ってきたな!おかえり!!!」
皆さんも温かく迎えてあげて下さいね!
いつもありがとうございます!
キャンピングカー家族旅行~最終日~
キャンピングカー家族旅行~六日目~
キャンピングカー家族旅行~五日目~
キャンピングカー家族旅行~四日目~
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Posted by カズキ at 16:00│Comments(4)
│家族
この記事へのコメント
ハッシーさん企画のトーキョー夜会(7/13)で塙さんのお蕎麦を頂いたことがある水木と申します。
ブログを拝読して、とても胸が熱くなりました。腰、それは職人にとっての生命線ですね。体と心と気合いがピタリと合わないと続けられない職人の世界は、だからこそ喜びと悔しさが背中合わせなのですね。
御弟子さんの決断はきっと断腸の思いだったのでしょうね。
住まいが神奈川県のため、直ぐには飛んでいかれませんが、また、じっくりとお蕎麦を噛み締めたいと、あの時の味を思い出しました。
どうかごゆっくりお身体を休ませてくださいませ。そしてまた、美味しいお蕎麦を打ってくださいね。期待しています。
水木
ブログを拝読して、とても胸が熱くなりました。腰、それは職人にとっての生命線ですね。体と心と気合いがピタリと合わないと続けられない職人の世界は、だからこそ喜びと悔しさが背中合わせなのですね。
御弟子さんの決断はきっと断腸の思いだったのでしょうね。
住まいが神奈川県のため、直ぐには飛んでいかれませんが、また、じっくりとお蕎麦を噛み締めたいと、あの時の味を思い出しました。
どうかごゆっくりお身体を休ませてくださいませ。そしてまた、美味しいお蕎麦を打ってくださいね。期待しています。
水木
Posted by モコ at 2016年08月16日 21:07
水木さん
コメントありがとうございます!
弟子のカズ君も、神奈川県出身なんです!
今回の件は、本当に多くの学びを得ました。
辞めさせたことは、とても辛く悲しい決断でした。
でも、あの時は最善の決断だったと今でも思っています。
彼の今後の活躍に期待しています。
また水木さんともお逢いできる日を楽しみにしていますね!
コメントありがとうございます!
弟子のカズ君も、神奈川県出身なんです!
今回の件は、本当に多くの学びを得ました。
辞めさせたことは、とても辛く悲しい決断でした。
でも、あの時は最善の決断だったと今でも思っています。
彼の今後の活躍に期待しています。
また水木さんともお逢いできる日を楽しみにしていますね!
Posted by カズキ at 2016年08月17日 07:38
塙さん
職人は店で修行している時間と同じくらい、自分自身と向き合い考える時間が、自分自身を創ると信じています。どこにいても、どんな状況でも、職人であることを忘れなければ、一年や二年の離職は問題ないと、感じます。
大事なことは、精神を保つこと。
本気で好きな仕事とは、
時として、投げ出したくなるくらい
嫌になるくらい好きになること、
矛盾しますが、そうでないと。
また、きっとお会いしたいと思います。
水木
職人は店で修行している時間と同じくらい、自分自身と向き合い考える時間が、自分自身を創ると信じています。どこにいても、どんな状況でも、職人であることを忘れなければ、一年や二年の離職は問題ないと、感じます。
大事なことは、精神を保つこと。
本気で好きな仕事とは、
時として、投げ出したくなるくらい
嫌になるくらい好きになること、
矛盾しますが、そうでないと。
また、きっとお会いしたいと思います。
水木
Posted by モコ at 2016年08月17日 11:09
水木さん
またコメントありがとうございます!
水木さんの言葉、心に響きました。
日々成長!楽しみながら頑張ります!
またコメントありがとうございます!
水木さんの言葉、心に響きました。
日々成長!楽しみながら頑張ります!
Posted by カズキ at 2016年08月17日 23:13