2017年02月22日

「木鶏」という屋号の話

◆一人の起業家さんとの出逢い

それは昨年1月のことです。
長野県中部に大きな被害をもたらした、まだ記憶に新しい「雨氷被害」。

雨氷とは、非常に冷えた雨が氷点下の地物に接して氷となり、岩石や植物などを覆ったものです。この現象で、たくさんの木々が雨氷の重みで倒伏してしまいました。

山の中はもちろんのこと、国道沿いも例外ではなく、一時通行止めになる事態を招いてしまいました。そんな中、横浜市から信州に遊びに来られたお二人がいました。

白骨温泉に行く予定が、通行止めで通れず、とりあえず食事をしようとネットで検索されて、木鶏にご来店下さいました。そして、カウンター越しに軽くお話をし、楽しいひと時を過ごさせて頂きました。

あれから一年。
そのお二人が、また木鶏に来て下さいました。

そして、会話の中でとても嬉しいお言葉を頂いたのです。

「実は、昨年末に会社を辞め、起業をしたんです。そして、会社の屋号を「木鶏」にさせて頂いたんですよ!」

初めは、どういうことか分からなかったのですが、なんとカウンターに掲げられているこの絵。

「木鶏」という屋号の話

「未だ木鶏に至らず」

この言葉の意味を、私はお客様に話をしたそうで、その言葉の印象が強くて、どうしても「木鶏」を屋号にしたかったみたいです。

◆「木鶏」とは・・・

中国の故事の話です。

今は昔、紀悄子という鶏を育てる名人がいました。強い鶏を育てられると有名な名人です。ある日、王様がその噂を聞きつけて城に招きました。王様は問います。

「最強の鶏を育てるにはどうしたらいいのか?」

その問に紀悄子は応えます。
そして王様は、自分が育てていた鶏を紀悄子へ預けます。

せっかちな王様は、10日後すぐに紀悄子のところへ訪ねます。

王 「どうだ?もう仕上がったか?」
紀 「まだ空威張りして闘争心があるからいけません。」

そして10日後。

王 「どうだ?もう仕上がったか?」
紀 「まだ他の闘鶏の声や姿を見ただけでいきり立ってしまいます。」

さらに10日後。

王 「どうだ?もうそろそろいいじゃろ?」
紀 「いえ。目を怒らせて己の強さを誇示しているから話になりません。」

ようやく待ちに待った40日後。
紀悄子は王様にこのように伝えたそうです。

「もう良いでしょう。他の闘鶏が鳴いても、全く相手にしません。まるで木鶏のように泰然自若としています。その徳の前に、かなう闘鶏はいないでしょう。」

真の強さは、他者と比較するものでもなく、誇示するものでもなく、また虚栄を張るものでもない。

という話です。

私は、今は亡き、木鶏の親方からこの話を聞いた時、なんと素晴らしい志なんだと、深く感銘を受けました。

そして、将来そば屋を構えることが出来たら、絶対お店の屋号を「木鶏」にしようと決めていました。

このお客様も、きっとこの「木鶏」の志に共感して下さったのかと思います。なんだか仲間が増えたみたいで嬉しいですよね!

次回来るときは、夜木鶏で一緒に一杯やりたいですと言って、お帰りになられました。

飲食店って、料理を提供するだけが仕事じゃないんだなって、改めて考えることが出来た話でした。まだまだ木鶏の境地には程遠いですが、毎日少しずつ歩んでいきたいと思います!!!

一期一会・・・。
出逢いに感謝です!


【そば処 木鶏】


住所 :長野県東筑摩郡山形村5511-7
電話 :0263-98-2099
昼の部:火~日   11:30~14:30(L.O 14:00)
夜の部:木・金・土 18:00~21:00(L.O 20:30)
定休日:月曜日(祝日の場合は翌日)
HP:「ここをクリック」


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Posted by カズキ at 06:00│Comments(0)同志
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